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里山資本主義の先行事例 〜藻谷浩介さんによる講演 @筑波大学

 

学生無料で参加させてもらいました、里山資本主義の著者の藻谷浩介さんによる筑波大学での講演。

藻谷さんを一回自分の団体にお呼びしたことはあるので2回目でしたが、相変わらずお話が上手で引き込まれます。そしてデータを基に核を捉えた説明をされるのですごいなと毎回思います。

丁度筑波大学の奈佐原先生のようなお方で、この人にはこの分野で叶わないなと思う一人であります。

 

里山資本主義的な先行事例は何か。

今回の講演は先行事例がテーマだったので、各市町村で成功されているというモデルケース、なぜ成功したか、欠点は何かを中心にお話されました。

最初に見せられたデータは人口移動と出生率のグラフ。縦軸に人口流入から人口流出を引いたもの、横軸は死亡人数から出生数を引いたものをとりグラフ化していました。つくばは外部からの流入が多く、また出生数も多いため比較的珍しい成功例だと。死んだ人数より生まれた人数が多いということをよく言われてた。

 

よく地域活性化のケースとして島根県海士町がよく取り上げられているので、その海士町のグラフを見てみると、高齢者が多すぎるため横軸はマイナスになっているものの、縦軸はプラス、つまりIターンとかUターンが多いことを表している。

 

地域が活性化していくとその地域の人口が増える。理由は様々だが、仕事があったり母子家庭に優しい制度がそういった要素の一つのようだ。小児科を増やすことで子供を授かることの精神的な開放感があり、母子家庭の誘致に成功した例もあるそうだ。

 

今回の講演のほとんどが林業に関するもので、世界的に見た日本と問題点を見て、エネルギー資源として活用する成功例や木材資源としてCLT木材という技術に至るまで聞くことができた。

色々説明は省くが、木が木材としてまたは資源として使われるには育て方が違う(放置していたら資源、間伐していたら木材に)のは知っていたが、木材資源としての価値が今ではほとんど外国産木材と同じもしくは劣っているため木材価格が下がり、林業従事者が減り・・・という負のサイクルを数字から目の当たりにした。

石油大国のサウジアラビアが石油を輸入するくらい馬鹿らしいことが日本には起きていて、山がたくさんあり国内需要OECDで3位と需要も高いのに海外から輸入している。これは問題だ。

 

もっとも誰かが最初にこのサイクルをぶち壊せば林業はこれから伸びるのであるが、その最初に行う人が莫大なコストを背負うためにやろうとする人がいないのが現状。ちゃんと間伐して立派な木に育てあげればそれなりの値段で売れるものが放置することで価値が無くなっていく。これは残念。

日本の農家に泊まったときの人が木材も売っていて、1本100万くらいの木を作っていた。ただこの木を作るのには1世代だけではできなくておじいちゃんが植えた木を自分が売っていると。だから自分も後世のために植えるんだ、と世代を超えた山作りを行っていたことを目の当たりにして素晴らしさを感じたのを鮮明に覚えている。

 

里山資本主義とは何か。

話が脱線してしまったが、里山資本主義という考え方がこれからの日本を支えるとおっしゃっていたし、僕もそう感じる。そもそも里山資本主義とは簡単にいうと地域で取れたものをその地域で食べる地産地消や、その地域で作ったエネルギーを使って生活したりするような形態だと思っている。エネルギーを作るのにはコストがかかるのだがそれを最低限に抑えて元を取る方法だったり、その土地で働く人の賃金を総じてあげることて他の地域から人を呼ぶような活動だったり、地域が主体となった地域にある資源を最大限生かし、輸送コスト等を最大限下げる、その結果何かと人が増えたり仕事が増えたりと地域にとっていいことがある戸言うものだと感じる。

今回の講演では岡山県真庭市木材バイオマス発電を始め、かぶちゃん電力レストラン味蔵、などその地域にあった地域活性であり里山資本の活動を紹介していた。里山資本主義は資本主義であるようにお金がその土地に落ちるような仕組みがとても大事だ。その方法はいくつでもあるのだがこれを実行するのは大変そうだ。

 

 

今回の講演に聴講されていた人につくばで綿詰めを行っている人がいて、綿を解いて糸にして縫ってという作業が大変だから、お金にならないけれど綿を詰めて服を作っているという人。まだお金にはなっていないけれど、地域の人が顔を合わせておしゃべりしながらこういったものをつくることに価値があると、そしていずれそういった活動はお金になっていくというのが最後の締め。

 

藻谷さんの里山資本主義を是非読んでみてください。

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

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